マイペンランちゃん

そんなガムガールと出会ってからある日、ガムガールが自慢そうに僕に携帯を見せて来た。


『携帯買ったの？』


『ううん。お父さんの携帯。』


お父さんなのか、ガム販売のボスのかは分からないけど・・・。


『番号教えてよ。』


『いいよ。ランのも教えてくれる？』


ストリートチルドレンと携帯番号を交換。


『ストリートチルドレンと仲がええ奴はおるかもしれんけど、携帯知ってる奴はなかなかおらんで。』


ムー先輩からもちょっとだけ褒められて？



ランさん頑張れ！！！
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ノリで番号聞いたけど、僕はストリートガムガールを舐めていた。


電話番号を交換したその日から、毎日電話が掛かって来る。


ソイカで僕が店に居る時も、電話が掛かって来て、


『ラン、何してるの？』


で、出待ち。


ソイカから家に帰る時もタクシーまで見送られて、タクシーに乗ったら電話があり、家に着いたくらいにまた電話がある。


ガムガールが仕事に出掛ける時も


『今から仕事行って来るね。ランは今日はソイカに来る？』


の電話があり、昼も夜も時間を問わず、３０分に一回は電話が鳴る。




仕事中ももちろん電話が鳴り、無視しているとポンちゃんから


『何で出ないの？』


ストリートチルドレンの話をすると、


『バカじゃないの！ホントに危ないよ！』


ポンちゃんに説教されて・・・。


タイ人は夜の仕事をちょっと軽蔑している感がある。



ランさん頑張れ！！！
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僕は週に１回もソイカに遊びに行かない。


けど、毎日ガムガールから２１時くらいにも電話があり、


『待ってるから早く来て。』


あの～、お店のコじゃないですよね！？


『今日はガムはよく売れてる？』


『誰も買ってくれないよ。』


『大丈夫、日本人は優しいから買ってくれるよ。』


『ランが来るんなら頑張る。』


おいおい、どこでそんな台詞覚えたんだい！



『昨日はランが来ないから大変だったんだよ。』


『どうしたの？』


『警察が来て、お金全部持って行かれた。』


少なくとも僕は関係ないですよね。



『捕まらなかったの？』


『うん。みんな逃げたから大丈夫だよ。』


『そっか、じゃあ気を付けて頑張ってね。』


『ねぇ、ラン。』


『何？何？』


『キトゥンna・・・。』



僕と同じピュアな心を持った、生意気なクソガキなガムガールに言われたこの『キトゥン』がここ最近で一番嬉しかった。



けど、１０年待つのに飽きてしまった僕はガムガールからの電話に出る事はなくなった。



今でもソイカに行くと、もの凄い形相で睨まれるけど、その後に見せてくれるデレ顔を見ると、



あと、１０年か・・・。



１０年後を少しだけ気にしながらも、今が旬なガールを求めて今日も徘徊する。



ランさん頑張れ！！！
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アドレスransan@hotmail.co.jpまで


つづく


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